簡易点検【フロン排出抑制法】

フロン排出抑制法

この点検は何のためにあるのか

業務用エアコンや冷凍冷蔵機器の中を巡っている冷媒の「フロン類」は、大気中に漏れ出すと地球温暖化の原因になります(オゾン層を壊す種類のものもあります)。二酸化炭素の数百倍〜1万倍以上の温室効果を持つものもあるため、少しの漏れでも影響は大きくなります。簡易点検は、漏れや故障の兆しを早く見つけるために、目で見たり音を聞いたりして定期的に確認する制度です。

対象になる機器

業務用エアコン(パッケージエアコン、ビル用マルチエアコン、チラーなど)や、冷凍冷蔵機器(冷凍冷蔵ショーケース、業務用冷蔵庫、冷凍冷蔵倉庫など)で、冷媒にフロン類を使う「第一種特定製品」のすべてが対象です。機器の大きさ(出力)に関係なく、小さな機器でも必要です。家庭用のエアコンや冷蔵庫は対象外です。

誰が点検する義務を負うのか(管理者)

点検の義務を負うのは、機器の「管理者」です。管理者は、原則として機器の所有者です。ビルでは、同じ建物の中でも、オーナーの資産の機器はオーナーが、テナントが自分で設置した機器はテナントが管理者になるのが一般的です。誰の機器かをはっきりさせておくことが、点検漏れを防ぐ第一歩です。

点検の頻度

3か月に1回以上です。

このうち、圧縮機の電動機の定格出力が7.5キロワット以上の機器は、簡易点検に加えて、専門知識のある人による「定期点検」も必要です。

点検の内容

  • 異音:機器から普段と違う音がしないか
  • 外観:本体や配管に損傷、摩耗、腐食、さびなどの劣化がないか
  • 油漏れ(油にじみ):配管の継ぎ目などに油がにじんでいないか(冷媒と一緒に回っている油がにじむのは、フロン漏れのサインです)
  • 熱交換器の霜付き:熱交換器に霜が付いていないか
  • 庫内温度(冷凍冷蔵機器):ショーケースや冷蔵倉庫の温度が普段より高くなっていないか

実施できる人

特別な資格は必要ありません。管理者自身や、ビルメンテナンスの担当者などが行うことができます。国(環境省・経済産業省)が「簡易点検の手引き」を公表しているので、点検のポイントを確認しておくと安心です。

漏れや故障が見つかったら

点検で漏れや故障を見つけたら、できるだけ速やかに、漏れている箇所を特定して修理する必要があります。修理をしないまま、フロンを補充(充塡)することは原則として禁止されています。空調や冷凍が止まると健康や事業に大きな支障が出るなどのやむを得ない場合に限り、60日以内に修理することを条件に、1回だけ応急的な充塡が認められています。

記録の保存

点検や修理、フロンの充塡・回収の履歴は、機器ごとに記録(点検整備記録簿)に残します。記録は、機器を使っている間はもちろん、機器を廃棄してフロン類の引渡しを終えた日から3年間保存します。紙でも電子データでもかまいません。修理業者などから求められたら見せる必要があるほか、機器を売却するときは記録も一緒に引き渡します。

現場から:簡易点検の実際

ビルメンテナンスの現場責任者としての経験から、実際の運用をまとめます。

自社(ビルメン)で実施し、Excelで管理

私の現場では、簡易点検は外部に頼まず、自社で行っています。点検の記録はExcelで管理しています。

「資産区分」で点検する機器を決める

ビルには、オーナーの機器とテナントの機器が混在しています。私の現場では、機器ごとの「資産区分」で管理しており、テナントの専有部分にある空調機でも、建物に付いているオーナーの資産(A資産などと呼ばれます)であれば、私たちが点検しています。逆に、テナントが自分で設置した機器は、そのテナントが管理者になります。資産区分の呼び方や線引きは物件によって違うため、管理を引き受けるときに、どの機器が点検の対象になるのかをオーナーと確認しておくことが大切です。

点検の中身

室外機などの油にじみ、異音・振動、熱交換器の霜の付き方、配管の腐食などを確認しています。

簡易点検で漏れが見つかることはなかなかない

実際には、簡易点検で漏れが見つかることはなかなかありません。正直なところ、現場の実感としては「点検の実施と記録の保存が法律で決められているから行っている」という面が大きいです。

とはいえ、記録を残しておけば、異常が出たときに過去の状態と比べることができますし、機器を廃棄した後も一定期間、記録の保存が求められているため、点検を続けておくこと自体が法令対応になります。冷えが悪い、運転が止まるといった不調が出たときは、簡易点検の時期を待たずに空調業者に相談しましょう。

関連する制度

根拠となる法令

フロン排出抑制法第16条に基づく「第一種特定製品の管理者の判断の基準となるべき事項」(平成26年経済産業省・環境省告示第13号)に定められています。

違反した場合

点検をしていない場合などは、都道府県知事から指導・助言を受けることがあります(フロン排出抑制法第17条)。さらに、定格出力7.5キロワット以上の機器を1台以上管理している管理者で、管理の状況が著しく不十分な場合は、勧告、公表を経て命令を受けることがあり、この命令に違反すると50万円以下の罰金の対象となります(同法第18条、第104条第1号)。

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