この検査は何のためにあるのか
有機溶剤や特定化学物質を扱う作業場では、有害な蒸気や粉じんを発生源のすぐそばで吸い取り、屋外へ排出する「局所排気装置」などが設置されています。フードやダクトが傷んだり、ファンのベルトが緩んだりして吸い込む力が落ちると、有害物質が作業場に広がり、働く人の健康を害するおそれがあります。定期自主検査は、こうした装置がきちんと働いているかを確認するための検査です。
対象になる設備
有機溶剤中毒予防規則や特定化学物質障害予防規則に基づいて設置された、次の装置が対象です。
- 局所排気装置:フード(吸い込み口)、ダクト、ファンなどで有害物質を吸い取る装置
- プッシュプル型換気装置:一方から空気を吹き出し、反対側で吸い込んで、有害物質を押し流して排出する装置
- 除じん装置・排ガス処理装置・排液処理装置(特定化学物質の場合):排出する前に有害物質を取り除く装置
ビルでは、テナントの工場・研究所・印刷所、病院の検査室などに設置されていることがあります。検査の義務を負うのは、その装置を使って労働者を働かせている事業者(テナントなど)です。
このほか、鉛中毒予防規則、粉じん障害防止規則、石綿障害予防規則にもとづいて設ける局所排気装置なども、同じように1年以内ごとに1回の定期自主検査が必要です。
なお、飲食店の厨房の排気フードは、有害物質の対策としてこれらの規則にもとづいて設けるものではないため、この定期自主検査の対象ではありません。
検査の頻度
1年以内ごとに1回、定期に自主検査を行います。1年を超えて使わない期間は省略できますが、使用を再開するときに検査が必要です。
検査で確認すること(局所排気装置の場合)
- フード、ダクト、ファンの摩耗、腐食、くぼみなどの損傷の有無と程度
- ダクトや排風機の中のほこり(じんあい)のたまり具合
- 排風機の注油の状態(有機溶剤の場合)
- ダクトの接続部の緩み
- 電動機とファンをつなぐベルトの作動状態
- 吸気と排気の能力(風速などの測定)
吸い込む能力は、フードの開口部などで風速(制御風速)を測って判断します。有機溶剤の局所排気装置では、囲い式フード(ドラフトチャンバーなど)で毎秒0.4メートル、外付け式フードで毎秒0.5メートル(上方吸引型は毎秒1.0メートル)の制御風速を出せる能力が必要です(有機溶剤中毒予防規則第16条)。
定期自主検査のほかに必要な点検
- 装置をはじめて使うときや、分解して改造・修理したときの点検(有機溶剤中毒予防規則第22条)
- 有機溶剤作業主任者による、1か月を超えない期間ごとの点検(有機溶剤中毒予防規則第19条の2)
年1回の定期自主検査だけでなく、ふだんの点検と組み合わせて、装置の性能を保つ仕組みになっています。
記録と補修
検査の結果(検査年月日、方法、箇所、結果、実施者、補修の内容)を記録し、3年間保存します。異常を見つけたときは、直ちに補修しなければなりません。
ビル管理の立場で知っておきたいこと
検査の義務はテナントなどの事業者にありますが、屋上のファンや、共用部を通るダクトなど、ビルの管理側が場所を把握しておくべき部分もあります。テナントの入居時に、こうした装置の有無と設置場所を確認しておくと、点検の日程調整や立会い、鍵の対応がスムーズになります。
関連する測定
作業場の空気中の有害物質の濃度を測る「作業環境測定」とあわせて管理することで、装置の効果を確かめることができます。
根拠となる法令
労働安全衛生法第45条(定期自主検査)と、有機溶剤中毒予防規則第16条(局所排気装置の性能)・第19条の2(作業主任者の職務)・第20条〜第23条、特定化学物質障害予防規則第29条・第30条・第32条・第33条・第35条、鉛中毒予防規則、粉じん障害防止規則、石綿障害予防規則第22条などに定められています。対象の装置は、労働安全衛生法施行令第15条第1項第9号で定められています。
違反した場合
定期自主検査を行わなかった場合、または記録しなかった場合は、50万円以下の罰金の対象となります(労働安全衛生法第120条第1号)。


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