この検査は何のためにあるのか
建物の中にある換気設備、排煙設備、非常用の照明装置、給水・排水設備など、命や健康に関わる建築設備が、きちんと機能するかを専門家が定期的に検査し、その結果を行政(特定行政庁)に報告する制度です。建築基準法第12条第3項に定められている「定期報告制度」の一つです。
定期報告制度の全体像は「特定建築物定期調査」の記事で紹介しています。
対象になる設備
| 設備 | 主な検査内容 |
|---|---|
| 換気設備 | 窓のない居室や、火を使う部屋(厨房など)の給気機・排気機の作動、換気量 |
| 排煙設備 | 排煙口・排煙窓の開閉、排煙機の作動、排煙風量、予備電源での作動 |
| 非常用の照明装置 | 停電時に予備電源へ切り替わって点灯するか、点灯時間、床面の照度 |
| 給水設備・排水設備 | 飲料水の配管・水槽の状態、排水管の状態など |
対象になる建物(自治体の指定による)
建築基準法の定期報告のうち、国が一律に対象としているのは、昇降機と防火設備です。換気設備・排煙設備・非常用照明・給排水設備の検査は、特定行政庁(都道府県・市など)が指定した建物が対象になります。多くの自治体では、劇場・病院・ホテル・百貨店・飲食店など、不特定多数の人が利用する一定規模以上の建物を指定しています。対象かどうかは、建物のある自治体の建築指導課などで確認できます。
検査の頻度
おおむね6か月から1年ごと(多くの自治体では毎年)に、特定行政庁が定める時期に報告します。ただし、国が定める一部の検査項目(排煙風量の測定など)は、1年から3年までの間隔で行えばよいとされています。
検査の方法(国の告示の基準)
- 非常用照明の照度:避難上必要な部分のうち、最も暗い部分の床面で、低照度測定用の照度計を使って測ります。一般に、床面で1ルクス以上(蛍光灯やLEDの場合は2ルクス以上)が必要です。自動検査機能つきの器具は、その表示で確認することもできます。
- 排煙機の排煙風量:排出口の断面の5か所で、風速計を使って1点につき30秒以上風速を測り、平均風速と排出口の面積から風量を計算します。
- 換気設備の風量:給気口・排気口で風速を測り、開口の面積から換気量を計算して、必要な換気量を満たしているかを確認します。
検査できる人
一級建築士・二級建築士、または建築設備検査員の資格を持つ人が検査を行います。資格については「建築物調査員・建築設備検査員とは?」の記事をご覧ください。
現場から:建築設備定期検査の実際
ビルメンテナンスの現場責任者としての経験から、実際の検査の様子をまとめます。
自社(直営)で、資格者の補助として実施
私が入社して間もないころ、建築設備定期検査を自社で行っており、資格者の補助として検査に携わりました。
非常用照明は夜間にブレーカーを落として測定
非常用照明の検査は、外の明かりの影響を受けない夜間に行っていました。担当していたのは商店街のような施設で、半分屋外のような構造だったため、昼間は外の光が入って正しく測れなかったからです。非常用照明の回路のブレーカーを落として予備電源で点灯させ、照度計で複数の箇所を抜き出して照度を測定しました。夜間の作業になるため、一般的には、テナントの営業時間や警備との調整も必要になります。
換気は風速を測って換気量を計算
換気設備の検査では、風速計で給気口・排気口の風速を測り、開口の面積と風速から換気量を計算していました。
なお、担当していた建物には排煙設備がありませんでした。排煙設備があるかどうかは、建物の規模や構造によって変わります。
根拠となる法令
建築基準法第12条第3項と、建築基準法施行令第16条第3項、建築基準法施行規則第6条(報告の時期)に定められています。検査の項目・方法・判定基準は「平成20年国土交通省告示第285号」で定められています。
違反した場合
検査結果を報告しなかった場合、または虚偽の報告をした場合は、100万円以下の罰金の対象となります(建築基準法第101条第1項第2号)。実際には、罰則の前に、行政からの通知・督促などの段階を経るのが一般的です。


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