耐震診断・耐震改修【耐震改修促進法】

その他の法令

この制度は何のためにあるのか

古い基準で建てられた建物が、大きな地震にどれくらい耐えられるかを調べ(耐震診断)、必要に応じて補強工事(耐震改修)を行うための制度です。平成7年(1995年)の阪神・淡路大震災で、古い基準の建物に大きな被害が出たことをきっかけに作られ、平成25年(2013年)の改正で、大規模な建物などの耐震診断が義務になりました。

「旧耐震基準」とは

建築基準法の耐震基準は、昭和56年(1981年)6月1日に大きく改正されました。それより前の基準(いわゆる「旧耐震基準」)で建てられた建物は、大きな地震で倒壊するおそれがあるものがあり、この制度の主な対象になります。現在の基準に合っていないため、「既存耐震不適格建築物」と呼ばれます。

耐震診断が義務になる建物

1. 要緊急安全確認大規模建築物(国が一律に指定)

旧耐震基準の建物のうち、次の大規模なものは、耐震診断を行って結果を所管行政庁に報告することが義務づけられました(報告期限は平成27年12月31日で、結果は行政庁のホームページなどで公表されています)。

用途 規模
病院、店舗、旅館、ホテル、劇場、集会場、展示場、飲食店、銀行など、不特定多数の人が利用する建物 階数3以上かつ床面積の合計5,000平方メートル以上
体育館(一般公共の用に供されるもの) 階数1以上かつ5,000平方メートル以上
老人ホームなど 階数2以上かつ5,000平方メートル以上
小学校、中学校など 階数2以上かつ3,000平方メートル以上
幼稚園、保育所など 階数2以上かつ1,500平方メートル以上
一定量以上の危険物を扱う貯蔵場・処理場 階数1以上かつ5,000平方メートル以上(敷地境界から一定距離内のもの)

2. 要安全確認計画記載建築物(自治体が指定)

  • 避難路の沿道建築物:都道府県や市町村が指定する緊急輸送道路などの沿道にあり、倒れると道路をふさぐおそれのある一定の高さの建物(道路の境界線から建物までの距離に、道路の幅員が12メートル以下なら6メートル、12メートルを超えるなら幅員の2分の1を加えた高さを超えるもの。耐震改修促進法施行令第4条第1号)。平成31年からは、建物に附属するブロック塀などの組積造の塀で、道路に面する部分の長さが25メートルを超え、一定の高さを超えるものも対象に加わりました(同条第2号)。
  • 防災拠点建築物:都道府県が指定する、庁舎・病院・避難所となる体育館やホテルなど。

これらの建物は、自治体が定める期限までに耐震診断を行い、結果を報告する必要があります。

努力義務の建物

上記以外でも、不特定多数の人が利用する一定規模以上の建物など(特定既存耐震不適格建築物)は、耐震診断と必要な耐震改修を行うよう努めなければならず、所管行政庁から指導・助言を受けることがあります。さらに、住宅や小規模な建物を含め、旧耐震基準のすべての建物について、耐震診断・耐震改修は努力義務とされています。

耐震改修を後押しする仕組み

  • 耐震改修計画の認定:認定を受けると、建築基準法の一部の制限の緩和(既存不適格のままでよい特例、容積率・建ぺい率の特例など)を受けられます。
  • 耐震性の表示制度:耐震性が確保されていると認定された建物は、その旨のマークを表示できます(任意)。
  • マンションの決議要件の緩和:耐震改修が必要と認定された区分所有建物では、共用部分の大規模な耐震改修を、通常必要な「4分の3以上」の特別多数による決議ではなく、通常の集会の決議(過半数)で行えます(耐震改修促進法第25条第3項)。
  • 補助金・税制:国や自治体による耐震診断・耐震改修の補助や、税の優遇措置があります。

ビル管理の立場から確認しておきたいこと

  • 管理している建物の建築確認の日付(昭和56年6月1日より前かどうか)を、確認済証や建物の資料で把握しておく
  • 耐震診断を受けている場合は、その結果(構造耐震指標など)と、改修の予定の有無をオーナーと共有しておく
  • 耐震改修の工事では、テナントの営業への影響(騒音・振動・工事範囲の立ち入り制限など)の調整が必要になる

建物の定期的な調査については「特定建築物定期調査」の記事をご覧ください。

根拠となる法令

建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)に定められています。制度の概要は、国土交通省の「建築物の耐震改修の促進に関する法律の概要」で確認できます。

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