この検査は何のためにあるのか
冷凍機や大型の空調機の中では、冷媒ガスが圧縮されて高い圧力になっています。高圧ガス保安法では、これを高圧ガスの「製造」として扱い、ガスの漏れや機器の破裂などの事故を防ぐため、一定規模以上の冷凍設備に、日常点検・定期自主検査・保安検査などを義務づけています。
対象になる設備(冷媒と冷凍能力で決まる)
規制の区分は、使っている冷媒ガスの種類と、設備の1日の冷凍能力(トンで表示)で決まります。
| 冷媒ガス | 第一種製造者(許可が必要) | 第二種製造者(届出が必要) | その他の製造者(手続き不要) |
|---|---|---|---|
| 二酸化炭素、フルオロカーボン(不活性のもの) | 50トン以上 | 20トン以上50トン未満 | 5トン以上20トン未満 |
| フルオロカーボン(不活性のものを除く)、アンモニア | 50トン以上 | 5トン以上50トン未満 | 3トン以上5トン未満 |
| 上記以外 | 20トン以上 | 3トン以上20トン未満 | ― |
ビル用マルチエアコンのような一般的な空調機は、1台ごとの冷凍能力が小さく、多くは「その他の製造者」に当たるか、さらに小さく法律の適用から除かれる設備で、許可や届出は不要です。ただし、「その他の製造者」に当たる設備には、冷凍保安規則の技術上の基準が適用されます(冷凍能力が3トン未満の設備や、二酸化炭素・不活性のフルオロカーボンを使う5トン未満の設備は、法律の適用除外です)。一方、ターボ冷凍機や大型のチラー、冷凍・冷蔵倉庫の冷凍機などは、第一種・第二種製造者に当たることがあります。冷凍能力は、機器の銘板や、設置時の許可・届出の書類で確認できます。
義務の内容
| 義務 | 第一種製造者 | 第二種製造者 |
|---|---|---|
| 日常点検 | ガスの種類や設備の態様に応じて、異常の有無を点検 | |
| 定期自主検査 | 1年に1回以上 | 一部が対象(アンモニア・フルオロカーボン(不活性を除く)で冷凍能力20トン以上のものなど) |
| 保安検査 | 3年以内に1回以上、都道府県知事等(または指定保安検査機関)の検査 | 不要 |
| 冷凍保安責任者の選任 | 原則として必要(ユニット型の設備など、一部は不要) | 多くは不要(アンモニア・フルオロカーボン(不活性のものを除く)で20トン以上のものなど一部は必要) |
| 危害予防規程 | 作成・届出が必要 | 不要 |
| 保安教育 | 保安教育計画を定めて実行 | 保安教育を行う |
定期自主検査
設備が技術上の基準に適合しているかを、事業者自身が定期に検査し、検査記録(検査した設備、方法と結果、年月日、監督した人の氏名)を作成して保存します。
保安検査
第一種製造者の製造施設は、都道府県知事等が行う保安検査を、3年以内に少なくとも1回受けなければなりません。ただし、工場で製造されたユニット型の設備などで、国の「指定設備」の認定を受けたもの(認定指定設備)の部分は、保安検査の対象外です。自分の設備が認定指定設備かどうかは、設置時の許可の書類やメーカーへの確認で分かります。
冷凍保安責任者
製造保安責任者免状(第一種・第二種・第三種冷凍機械)を持ち、一定の実務経験がある人の中から、冷凍保安責任者とその代理者を選任します。資格については「高圧ガス製造保安責任者とは?」の記事をご覧ください。
日常点検で見るポイントの例
以前の冷凍保安規則では「1日に1回以上」点検することとされていましたが、令和7年4月18日施行の改正でこの回数の定めはなくなりました。現在は、日常点検の回数は一律には決められておらず、製造する高圧ガスの種類や設備の態様に応じて、異常の有無を点検し、異常があれば補修などの措置をとることとされています(第9条第2号)。点検の頻度は、危害予防規程や設備の状況に合わせて決めます。
- 電動機の電圧・電流
- 冷水・冷却水の入口・出口の温度
- 潤滑油の圧力、凝縮器・蒸発器の圧力
- 振動・異音、ガス漏れ、油のにじみ、外観の損傷
具体的な点検項目は、機器のメーカーに確認するのが確実です。
事故が起きたら
冷媒ガスの漏えいや破裂などの事故が起きたときは、遅滞なく都道府県知事等(自治体によっては消防局など)に届け出る必要があります。古い冷凍機では、配管の腐食や接続部の緩みによるガス漏れの事故が報告されています。
フロン排出抑制法との関係
フルオロカーボン(フロン類)を冷媒とする冷凍機は、高圧ガス保安法とは別に、フロン排出抑制法の「簡易点検」や「定期点検」の対象にもなります。2つの法律の点検をまとめて計画すると効率的です。
根拠となる法令
高圧ガス保安法第5条(製造の許可・届出)、第26条(危害予防規程)、第27条(保安教育)、第27条の4(冷凍保安責任者)、第35条(保安検査)、第35条の2(定期自主検査)、第63条(事故届)と、冷凍保安規則に定められています。冷凍保安規則(第9条:製造の方法の基準、第36条:冷凍保安責任者、第40条:保安検査、第44条:定期自主検査)と高圧ガス保安法施行令(第2条:適用除外、第4条:第一種・第二種製造者の区分)もe-Govで確認できます。対象の区分などは、自治体(仙台市消防局など)が公表している手引きでも確認できます。


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