この資格は何のためにあるのか
高圧ガス製造保安責任者は、高圧ガスを製造する施設で、保安(事故の防止)の責任者として選任されるための国家資格です。高圧ガス保安法では、冷凍機の中で冷媒ガスを圧縮することも高圧ガスの「製造」にあたるため、ビルの大型冷凍機も対象になります。
ビル管理の現場で関係が深いのは、冷凍設備の保安を担当する冷凍保安責任者です。一定規模以上の冷凍設備を設置している事業者(第一種製造者など)は、製造施設ごとに、冷凍機械責任者の免状を持つ人の中から冷凍保安責任者を選任しなければなりません(高圧ガス保安法第27条の4、冷凍保安規則第36条)。
免状の種類
製造保安責任者免状は、次の8種類です(高圧ガス保安法第29条)。
| 区分 | 免状の種類 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 化学責任者 | 甲種・乙種・丙種 | 化学工場など、高圧ガスを製造する施設全般(丙種は液化石油ガスなど一部のガス) |
| 機械責任者 | 甲種・乙種 | 高圧ガスを製造する施設全般の機械・設備 |
| 冷凍機械責任者 | 第一種・第二種・第三種 | 冷凍のための高圧ガスの製造施設(冷凍機) |
化学責任者と機械責任者は主に化学工場やガス製造所などで必要になる資格で、ビルの設備管理で必要になるのは、ほとんどの場合冷凍機械責任者です。
冷凍保安責任者に必要な免状と経験
冷凍保安責任者に選任できる人は、冷凍設備の1日の冷凍能力に応じて、次のように決められています(冷凍保安規則第36条第1項)。
| 1日の冷凍能力 | 必要な免状 | 必要な経験 |
|---|---|---|
| 300トン以上 | 第一種冷凍機械責任者 | 冷凍能力100トン以上の施設での高圧ガスの製造に関する1年以上の経験 |
| 100トン以上300トン未満 | 第一種または第二種冷凍機械責任者 | 冷凍能力20トン以上の施設での1年以上の経験 |
| 100トン未満 | 第一種・第二種・第三種のいずれか | 冷凍能力3トン以上の施設での1年以上の経験 |
つまり、第三種冷凍機械責任者でも、冷凍能力100トン未満の施設であれば、1年以上の経験があれば冷凍保安責任者になれます。
なお、フルオロカーボンなどを冷媒とする冷凍設備のうち、工場で一体に組み立てられ、自動制御装置などの要件を満たすユニット型の設備は、冷凍保安責任者の選任が不要とされています(冷凍保安規則第36条第2項)。どの冷凍設備に選任が必要かは、設備の届出・許可の区分とあわせて確認しましょう。冷凍設備の検査については冷凍設備の定期自主検査・保安検査をご覧ください。
取得方法
高圧ガス保安協会が行う国家試験(高圧ガス製造保安責任者試験)に合格し、申請すると免状が交付されます(交付するのは都道府県知事など)。試験は年1回、例年11月に行われます(令和8年度は11月8日)。
冷凍機械責任者の試験科目
| 種類 | 試験科目 |
|---|---|
| 第一種冷凍機械 | 法令、保安管理技術、学識 |
| 第二種冷凍機械 | 法令、保安管理技術、学識 |
| 第三種冷凍機械 | 法令、保安管理技術 |
講習で科目免除を受ける方法
高圧ガス保安協会が行う講習を受け、講習の最後の検定に合格すると、国家試験では「保安管理技術」と「学識」が免除され(第三種はもともと「学識」がないため「保安管理技術」のみ免除)、どの種類も「法令」だけを受験すればよくなります。講習の修了証は失効しないため、講習を受けた後の年度に国家試験を受けることもできます。
難易度
ビル管理の分野でよく受験される第三種冷凍機械責任者の場合、全科目を受験した人の合格率は、令和5年度が39.9%、令和6年度が36.1%、令和7年度が45.0%と、4割前後で推移しています。計算問題もある第一種・第二種は、より難しい試験です。
現場から:ボイラーと同じく、需要は減ってきている印象
私は冷凍機械責任者の資格を持っておらず、担当した建物でも冷凍保安責任者が必要になる冷凍機に関わったことはありません。ビルメンテナンスの現場にいる立場から見ると、この資格はボイラー技士と同じように、需要がどんどん減ってきていると感じます。冷凍保安責任者が必要な冷凍機の話を聞くのは、大型の施設くらいです。
理由としては、建物の空調が、大型の冷凍機を使う中央方式から、ビル用マルチエアコンなどの個別空調に置き換わってきていることや、冷凍保安責任者の選任がいらないユニット型の冷凍設備が増えていることが考えられます。一方で、大型の商業施設、病院、地域冷暖房、冷凍倉庫など、大型の冷凍設備を使う施設では今も必要とされる資格です。こうした施設で働きたい人には、取っておく価値があります。ボイラー技士についてはボイラー技士とは?特級・一級・二級の違いと取得方法をご覧ください。
勉強するなら(広告を含みます)
ビル管理の分野でよく受験される第三種冷凍機械責任者の試験対策には、試験問題と解説をまとめた本が役立ちます。東京都高圧ガス保安協会から、2026年版の「第三種冷凍機械責任者試験問題と解説」が出ています。
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第三種冷凍機械責任者試験問題と解説(2026年版)改定第59版 (高圧ガス国家試験対策シリーズ) [ 東京都高圧ガス保安協会 ]
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ほかの資格との比較や、資格を取る順番の考え方は、「ビルメンの資格は何から取る?現場で使える資格と、取る順番の考え方」をご覧ください。
根拠となる法令
高圧ガス保安法第27条の4(冷凍保安責任者の選任)、第29条(免状の種類)、冷凍保安規則第36条(冷凍保安責任者に必要な免状・経験、選任が不要な施設)に定められています。


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