空気調和設備の冷却塔等の点検・清掃【建築物衛生法】

建築物衛生法

この点検・清掃は何のためにあるのか

空調用の冷却塔や加湿装置は、内部に水を溜めて使う設備のため、手入れを怠るとレジオネラ菌などが繁殖する危険があります。冷却塔の水はしぶきとなって外に飛ぶことがあり、それを人が吸い込むとレジオネラ症(肺炎など)を起こすおそれがあります。それを防ぐための点検・清掃です。

対象になる建物

建築物衛生法上の「特定建築物」(延べ面積3,000平方メートル以上の事務所・店舗・旅館など、学校教育法第1条に定める学校は8,000平方メートル以上)が対象です。対象となる用途の詳しい一覧は「特定建築物の届出」の記事をご覧ください。

点検・清掃の頻度

  • 冷却塔・冷却水の点検:使用開始時と、使用期間中は1か月以内ごとに1回、汚れの状況を点検し、必要に応じて清掃・換水などを行います(1か月を超えて使わない期間は不要)。
  • 加湿装置・空調機の排水受け(ドレンパン)の点検:同じく使用開始時と、使用期間中は1か月以内ごとに1回です。
  • 清掃:冷却塔・冷却水の水管・加湿装置の清掃を、それぞれ1年以内ごとに1回行います。
  • 補給水の水質:冷却塔や加湿装置に供給する水は、水道法の水質基準に適合させる必要があります。

レジオネラ属菌の検査と目安

レジオネラ属菌の検査の頻度は法律では決められていませんが、国の「レジオネラ症防止指針」では、設備の感染危険度(菌が増えやすいか、しぶきを人が吸い込みやすい場所かなど)に応じて検査頻度を決め、定期的に状態を確認することが勧められています。指針では、冷却塔の水の目標値を100CFU/100mL未満としています。これを超えて検出された場合は、すぐに清掃・消毒などの対策を行い、対策後に菌数が十分に下がったことを確認するよう求めています。

現場から:冷却塔管理で実際にあったこと

ビルメンテナンスの現場責任者として冷却塔を管理してきた経験から、実際の運用とトラブルをまとめます。

清掃は「冷房イン前」と「冷房アウト後」の年2回

法律上の清掃は年1回以上ですが、私の現場では、冷房を使い始める前と、冷房シーズンが終わった後の、空調を使わないタイミングで年2回、専門業者に清掃してもらっていました。清掃では高圧洗浄機を使うため、事前に洗浄用の水をとれる水源と、機材を置いて作業できる場所を確保しておく必要があります。屋上などに冷却塔がある場合は、近くに水栓があるか、ホースをどこから引くかを業者と事前に打ち合わせておくとスムーズです。

ふだんの水の管理

薬剤を自動で注入する装置(薬注装置)は付いておらず、補給水を入れてオーバーフローした水を排水する(水を少しずつ入れ替える)方法で管理していました。これは比較的一般的なやり方だと思います。レジオネラ属菌の検査は年1回でした。

レジオネラ属菌が検出されたときの対応

外部の物件(1年ごとに契約を更新する現場)で、冷却塔の水からレジオネラ属菌が検出されたことがあります。そのときは、もう一度冷却塔を清掃し、使っていた薬剤を固形タイプのものに変更して対策しました。なお、その現場では再検査が契約の範囲外だったため実施していません。指針では対策後の確認が求められているので、契約の段階で、検出時の再検査まで含めておくと安心です。

屋外設置ならではのトラブル

  • 泥がたまりやすい:屋外に置かれているため、土ぼこりなどが入り込み、水槽の底に泥がすごくたまります。
  • ボールタップの固着:補給水を入れるボールタップ(浮き玉式の弁)が固着して、給水がうまくいかなくなったことがあります。
  • Y型ストレーナーの詰まり:配管のゴミを取るY型ストレーナーが詰まり、異常警報が出たことがあります。

月1回の点検では、水の汚れだけでなく、こうした給水まわりの部品の動きもあわせて確認しておくと、トラブルを早めに防げます。

冷却塔のある屋上など、夏場の屋外作業の熱中症対策の義務については、「熱中症対策の義務化(令和7年6月施行)【労働安全衛生法】」をご覧ください。

根拠となる法令

建築物衛生法第4条(建築物環境衛生管理基準)と、同法施行規則第3条の18に定められています。

違反した場合

管理基準に適合していないだけで直ちに罰則が科されるわけではありません。ただし、管理基準が守られておらず健康を損なうおそれがあるなどの場合には、都道府県知事から改善命令や設備の使用停止などの処分を受けることがあり、これに違反すると30万円以下の罰金の対象となります(建築物衛生法第16条第5号)。また、点検・清掃などの記録を残す帳簿書類を備えていない場合も、30万円以下の罰金の対象です(同条第3号)。

コメント

タイトルとURLをコピーしました