給水の水質検査【建築物衛生法】

建築物衛生法

この検査は何のためにあるのか

建物内で使う水道水が、安全な水質を保っているかを定期的に確認するための制度です。水道局から届く水は安全でも、建物の受水槽や配管の中で水がとどまるうちに、消毒のための塩素が減ったり、汚れが混じったりすることがあります。そのため、実際に蛇口から出る水をチェックすることが求められています。

対象になる建物

建築物衛生法上の「特定建築物」(延べ面積3,000平方メートル以上の事務所・店舗・旅館など、学校は8,000平方メートル以上)が対象です。対象となる用途の詳しい一覧は「特定建築物の届出」の記事をご覧ください。

検査の頻度と内容

水道水だけを水源にしている建物の場合、主な検査は次のとおりです。

  • 残留塩素の測定:7日以内ごとに1回
    給水栓(蛇口)で、遊離残留塩素が0.1mg/L以上(結合残留塩素の場合は0.4mg/L以上)あることを確認します。
  • 水質基準の検査(16項目):6か月以内ごとに1回
    一般細菌・大腸菌・pH・味・臭気・色度・濁度などの11項目と、鉛・亜鉛・鉄・銅・蒸発残留物の5項目です。16項目の検査ですべて基準に適合していれば、次回の検査は後の5項目を省略して11項目で構いません。
  • 消毒副生成物(12項目):毎年1回、6月1日〜9月30日の間
    塩素消毒によってできる総トリハロメタンなどの物質を調べます。水温が高くなる夏に増えやすいため、実施時期が決められています。

井戸水などを使っている建物では、これに加えて検査項目が増えます。測定・検査の結果は帳簿に記録し、保存しておく必要があります。

令和8年(2026年)4月の改正:水質基準にPFOS・PFOAが加わりました

令和8年(2026年)4月1日から、水質基準に関する省令に、有機フッ素化合物のPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(ペルフルオロオクタン酸)が加わりました。基準値は、2つを合わせて1リットルあたり0.00005ミリグラム(50ナノグラム)以下で、水質基準は52項目になっています。

建物の水質検査への影響は、次のとおりです。

  • 水道水だけを水源にしている建物:6か月以内ごとの検査(16項目)や、毎年の消毒副生成物の検査の項目の中身は、変わっていません。建築物衛生法施行規則第4条は、水質基準省令の表の「◯◯の項」という番号で検査項目を決めています。表にPFOS・PFOAが入ったことで、後ろの項の番号が1つずつずれたため、令和8年4月1日に、規則の番号が改められました
  • 地下水などを水源にしている建物:給水を開始する前に行う「水質基準の表の、すべての事項」の検査に、PFOS・PFOAが含まれます
  • 水の色・濁り・臭い・味などに異常があったとき:水質基準の表の中から、必要な項目を選んで検査します。PFOS・PFOAも、この選択肢に入ります(水道水だけの建物でも同じです)

実際にどの項目を検査するかは、依頼する検査機関や、管轄の保健所に確認してください。

現場から:日々の残留塩素測定のやり方

ビルメンテナンスの現場責任者として、日常的に残留塩素を測ってきた経験から、実際のやり方をまとめます。

どこで、どうやって測るか

私の現場では、定期の点検の際に、男子トイレの手洗い・給湯室・SK(掃除用の流し)などの蛇口で測っています。測定方法は、試薬を入れて色の濃さで判定する一般的な「DPD法」です。

塩素が出にくい場所は「しばらく流してから」

建物の端のほうなど、ふだんあまり水を使わない蛇口では、配管の中で水がとどまっているため塩素が低く出ることがあります。そうした場所では、SKなどで5分ほど水を出しっぱなしにして、配管の水が入れ替わってから最後に採水するようにしています。

薬注で管理している現場もある

現場によっては、給水に次亜塩素酸ナトリウムを注入する装置(薬注)で塩素濃度を管理しています。夏場は水温が上がって塩素が減りやすくなるため、注入する濃度を濃くして調整しています。

記録は電子データで管理

測定結果を含む点検票は、すべて電子データで管理しています。

6か月ごとの水質検査は専門業者に依頼

16項目や消毒副生成物の検査は、採水から分析まで専門の検査業者に依頼しています。16項目で問題がなければ次回は11項目で済むため、実際には「16項目→11項目→16項目…」と交互に実施する形になります。私の現場では、受水槽の清掃や簡易専用水道の検査と同じ会社にまとめて依頼しており、日程調整や報告書の管理が一本化できて便利です。

根拠となる法令

建築物衛生法第4条(建築物環境衛生管理基準)と、同法施行令第2条、施行規則第4条に定められています。検査項目は、水質基準に関する省令(令和7年6月30日公布の改正で、令和8年4月1日からPFOS・PFOAが追加)の表にもとづきます。

違反した場合

管理基準に適合していないだけで直ちに罰則が科されるわけではありません。ただし、管理基準が守られておらず健康を損なうおそれがあるなどの場合には、都道府県知事から改善命令や設備の使用停止などの処分を受けることがあり、これに違反すると30万円以下の罰金の対象となります(建築物衛生法第16条第5号)。また、測定・検査の結果などを記録する帳簿書類を備えていない場合も、30万円以下の罰金の対象です(同条第3号)。

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