防火対象物点検・報告【消防法】

消防法

この点検は何のためにあるのか

消防用設備等の「機器」だけでなく、防火管理者の選任状況や避難訓練の実施状況など、建物の防火管理体制そのものがきちんと機能しているかを確認するための点検・報告制度です。消防用設備等点検とは別の制度として、消防法第8条の2の2に定められています。

対象になる建物

デパートやホテル、病院など不特定多数の人が出入りする「特定用途」の建物(特定防火対象物)のうち、次のいずれかに当てはまるものが対象です。

  • 収容人員が300人以上のもの(地下街を含む)
  • 収容人員が30人以上300人未満(老人ホームなど一部の用途は10人以上)で、地階または3階以上の階に特定用途の部分があり、かつ、そこから地上へ通じる階段が屋内に1つしかないもの(屋外階段などがある場合は対象外)

「3階以上に特定用途がある」だけ、「階段が1つ」だけでは対象にならず、両方に当てはまる場合に対象となる点に注意が必要です。実際の判定は、所轄の消防署に確認するのが確実です。

点検・報告の頻度

1年に1回、防火対象物点検資格者による点検を受け、その結果を消防長または消防署長に報告します。

点検・報告が免除される特例認定

建物の管理権原者(オーナーなど)が消防長または消防署長に申請し、「特例認定」を受けた場合は、3年間、点検・報告が免除されます。自動的に免除されるわけではない点に注意が必要です。認定を受けるには、主に次の要件を満たす必要があります。

  • 管理を開始してから3年以上たっていること
  • 過去3年以内に、消防法令違反による命令を受けていないこと
  • 過去3年以内に、点検・報告を怠ったり虚偽の報告をしたりしていないこと
  • 過去3年以内に、特例認定を取り消されていないこと
  • 過去3年以内の点検で、点検基準に適合していないと判定されたことがないこと
  • 防火管理者の選任、消防計画の届出、避難訓練の実施など、防火管理が適切に行われていること

認定を受けた建物には「防火優良認定証」を表示することができます。認定の効力は3年で、建物の管理権原者が変わった場合も効力を失います。

なお、点検の結果、基準に適合していると認められた建物には「防火基準点検済証」を表示することができます。どちらも、利用者に「防火管理がきちんとされている建物」であることを示す目印になります。

点検で確認される主な内容

防火対象物点検では、消防用設備の機器そのものではなく、防火管理の「体制」と「運用」が確認されます。主な内容は次のとおりです。

  • 防火管理者が選任され、消防署に届け出られているか
  • 消防計画が作成・届出され、その内容どおりに運用されているか
  • 消火・通報・避難の訓練が実施されているか
  • 廊下・階段・避難口など避難施設に物が置かれていないか、防火戸の閉鎖に障害がないか
  • カーテンやじゅうたんなどに防炎物品が使われているか
  • 消防用設備等の点検・報告が行われているか

点検の結果は、「防火管理維持台帳」に記録して保存しておく必要があります。台帳には、防火管理者の選任届や消防計画の写し、訓練や自主検査の実施状況などもまとめておきます。

点検できる人

防火対象物点検資格者の資格を持つ人が点検を行います。消防設備士とは別の資格です。この資格は、消防設備士や消防設備点検資格者として3年以上の実務経験がある人、防火管理者として3年以上の実務経験がある人などが、登録講習機関の講習を修了して取得します。

現場から:新しい建物での防火対象物点検

私が現在担当している物件は、防火対象物点検の対象ですが、今年から運用を開始したばかりのため、まだ点検を受けたことはありません。

新しく使い始めた建物では、次の点に注意が必要です。

  • 特例認定はすぐには受けられない:点検の免除を受ける特例認定は「管理を開始してから3年以上」が条件のため、新しい建物は少なくとも最初の数年間、毎年の点検と報告が必要です。
  • 最初の点検までに書類を整えておく:防火管理者の選任届、消防計画、訓練の記録、消防用設備等の点検報告など、点検で確認される書類を、運用開始の段階から防火管理維持台帳にまとめておくと、初めての点検もスムーズです。
  • テナントの防火管理も対象:複数のテナントが入る建物では、テナントごとの防火管理者の選任や、避難経路の物品管理なども確認されます。

根拠となる法令

消防法第8条の2の2(点検・報告)、第8条の2の3(特例認定)と、消防法施行令第4条の2の2(対象になる建物)、消防法施行規則第4条の2の4(点検の頻度・防火管理維持台帳・資格者)に定められています。

違反した場合

点検・報告を行わない場合や虚偽の報告をした場合、30万円以下の罰金または拘留の対象となります(消防法第44条第11号)。

消防用設備の機器の点検については「消防用設備等の点検・報告」、防火管理者については「防火管理者の選任・消防計画の届出」の記事をご覧ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました