この点検・制度は何のためにあるのか
大規模・高層の建物では、火災だけでなく、大地震や、毒性物質の発散などの特殊な災害が起きたときにも、多くの人が同時に避難する必要があります。防災管理の制度は、こうした建物に「防災管理者」を置き、地震などに備えた消防計画を作成し、避難訓練などの体制が整っているかを定期的に点検するための制度です。火災に備える防火管理を、地震などの災害にまで広げたものといえます。
対象になる建物
次の用途の建物(別表第一の(1)〜(4)項、(5)項イ、(6)〜(12)項、(13)項イ、(15)項、(17)項)で、規模が大きいものが対象です。事務所、店舗、ホテル、病院、学校、工場なども含まれます(共同住宅や倉庫などは含まれません)。
| 地階を除く階数 | 延べ面積 |
|---|---|
| 11階以上 | 1万平方メートル以上 |
| 5階以上10階以下 | 2万平方メートル以上 |
| 4階以下 | 5万平方メートル以上 |
階数と延べ面積の両方に当てはまる建物が対象です(例:11階建てでも延べ面積が1万平方メートル未満なら対象外)。このほか、延べ面積1,000平方メートル以上の地下街も対象です。複合ビルの場合は、上記の用途に使われる部分がどの階にあり、合計何平方メートルあるかで判断します。
防災管理者の選任
対象の建物では、建物の管理について権原を持つ人が「防災管理者」を選任し、消防署に届け出る必要があります。防災管理者は、防災管理講習を修了した甲種防火管理者などから選任します。
また、対象の建物では、防火管理者が行うべき防火管理の業務も、防災管理者に行わせなければならないと定められています。つまり、実質的に防火管理者と防災管理者は同じ人が務めることになります。
防災管理者は、地震などへの対応を定めた防災管理に係る消防計画を作成して届け出て、それに基づく避難訓練などを行います。
自衛消防組織の設置
対象の建物では、火災や地震のときに、初期消火、情報の収集・伝達、避難誘導、救出・救護などを行う「自衛消防組織」を置き、消防署に届け出る必要があります。組織のリーダー(統括管理者)は、所定の講習を修了した人などから選ぶ必要があります。
防災管理点検の頻度
1年に1回、防災管理点検資格者による点検を受け、その結果を消防長または消防署長に報告します。点検の結果は「防災管理維持台帳」に記録して保存します。
防火対象物点検の対象でもある建物では、防火対象物点検とあわせて防災管理点検を行います。防火対象物点検と同じく、一定の要件を満たして申請し特例認定を受けると、3年間点検・報告が免除される制度もあります。防火対象物点検については「防火対象物点検・報告」の記事をご覧ください。
根拠となる法令
消防法第36条(第8条〜第8条の2の3の準用)、第8条の2の5(自衛消防組織)と、消防法施行令第4条の2の4(自衛消防組織が必要な建物)、第45条〜第48条の3(防災管理の対象・防災管理者)、消防法施行規則第51条の12(防災管理点検)などに定められています。
違反した場合
- 防災管理点検の結果を報告しなかった場合、または虚偽の報告をした場合:30万円以下の罰金または拘留(消防法第44条第11号)
- 防災管理者の選任・解任の届出を怠った場合:30万円以下の罰金または拘留(同法第44条第8号)
- 消防長・消防署長から防災管理者の選任を命じられたのに従わなかった場合:6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(同法第42条第1号)
防火管理者の制度については「防火管理者の選任・消防計画の届出」の記事をご覧ください。


コメント