消火訓練・避難訓練の実施【消防法】

消防法

この訓練は何のためにあるのか

火災が発生した際に、初期消火や通報、避難誘導を適切に行えるよう、日頃から訓練しておくための制度です。防火管理者が中心となって、消防計画に基づき、建物で働く人やテナントを対象に訓練を実施します。いざというときに体が動くかどうかは、訓練の経験で大きく変わります。

対象になる建物と頻度

建物 頻度
特定用途の建物(飲食店・物販店・ホテル・病院・劇場など)や、それを含む複合ビル、地下街 消火訓練・避難訓練を年2回以上
非特定用途の建物(事務所・共同住宅・工場・倉庫など) 消防計画に定めた回数(法令上の回数の定めはない)

いずれも、防火管理者の選任が必要な建物が対象です。防火管理者については「防火管理者の選任・消防計画の届出」の記事をご覧ください。

訓練の内容

  • 消火訓練:消火器や屋内消火栓・屋外消火栓を使った初期消火の訓練
  • 通報訓練:119番通報や、建物内への非常放送の訓練
  • 避難訓練:避難経路の確認や、避難誘導の訓練

これらを組み合わせて一度に行う「総合訓練」も多く行われています。

消防署への事前通報(義務)

特定用途の建物で消火訓練・避難訓練を行うときは、あらかじめ消防機関に通報しなければならないと、消防法施行規則で定められています。訓練の日時や内容を、事前に所轄の消防署へ連絡しておきましょう。書式や方法は消防署によって異なるので、事前に確認しておくと安心です。

現場から:消防訓練の実際

ビルメンテナンスの現場責任者としての経験から、実際の訓練の様子をまとめます。

防火管理者が主催し、ビルメンが手伝う

私の現場では、防火管理者(オーナーの社員)が訓練を主催し、私たちビルメンが準備や当日の運営を手伝っています。毎年11月に、総合的な訓練を行っています。

訓練の流れ

  1. 説明会:訓練の目的や当日の流れを説明します。
  2. 避難訓練:事前に消防署へ連絡したうえで、実際に避難経路を使って避難します。
  3. 水消火器の体験:消火器の使い方を説明してから、水の入った訓練用の消火器で実際に放射してもらいます。
  4. 屋外消火栓の体験:屋外消火栓からホースを延ばし、放水を体験してもらいます。

消火器や消火栓は、説明を聞くだけでなく、実際に一度触ってみることで、いざというときに使える自信につながります。

テナントの参加は4割程度

訓練に参加してくれるテナントは、全体の4割程度です。営業中の店舗は人を出しにくいなどの事情もありますが、火災のときに避難誘導や初期消火を担うのは、実際にそこで働いている人たちです。できるだけ多くのテナントに参加してもらえるよう、日程を早めに知らせたり、防火管理者やオーナーから参加を呼びかけてもらったりすることが大切です。

消防署員の立ち会いは減った

訓練の前には、消防署へ連絡を入れています。以前は消防署の職員が来て指導してくれることもありましたが、新型コロナウイルスの流行以降は、来てもらえなくなりました。消防署の指導が受けられない分、訓練の内容は自分たちで工夫する必要があります。

根拠となる法令

消防法第8条と、消防法施行令第3条の2(防火管理者の責務)、消防法施行規則第3条第10項(年2回以上の実施)・第11項(消防機関への事前通報)に定められています。

違反した場合

訓練を実施しないこと自体への直接の罰則規定はありません。ただし、防火管理の業務が法令や消防計画どおりに行われていないとして、消防長・消防署長から必要な措置を命じられることがあり、この命令に違反すると1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象となります(消防法第8条第4項、第41条第2号)。また、訓練の実施状況は、防火対象物点検や消防の立入検査でも確認されます。

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