浄化槽の保守点検【浄化槽法】

水道法・浄化槽法

この点検は何のためにあるのか

浄化槽は、微生物の働きで汚水をきれいにしてから川や水路に流す設備です。ブロワー(空気を送る機械)やポンプが止まったり、配管が詰まったりすると、処理が不十分な汚水がそのまま放流されたり、悪臭や害虫が発生したりします。保守点検は、浄化槽の機器や槽内の状態を定期的に確認・調整し、正常に働く状態を保つための作業です。

対象になる建物

浄化槽を設置しているすべての建物が対象です。し尿と生活雑排水をまとめて処理する「合併処理浄化槽」だけでなく、し尿だけを処理する古い「単独処理浄化槽」(法律上は「みなし浄化槽」)も対象です。

下水道につながっているビルの汚水槽・排水槽は浄化槽ではなく、建築物衛生法などで管理します(「排水設備の清掃」の記事を参照)。

点検の頻度

浄化槽法の条文では「毎年1回(省令で定める場合は、その回数)」とされていますが、実際には省令で、浄化槽の処理方式と規模(処理対象人員)ごとに、もっと短い間隔が定められています。主なものは次のとおりです。

処理方式 規模・設備 点検の間隔
分離接触ばっ気方式、嫌気ろ床接触ばっ気方式、脱窒ろ床接触ばっ気方式(家庭用などの小型合併処理浄化槽に多い) 処理対象人員20人以下 4か月に1回以上
21人以上50人以下 3か月に1回以上
活性汚泥方式 ― 1週間に1回以上
回転板接触方式、接触ばっ気方式、散水ろ床方式 砂ろ過装置・活性炭吸着装置・凝集槽がある 1週間に1回以上
スクリーンと流量調整槽がある(上記以外) 2週間に1回以上
上記以外 3か月に1回以上

単独処理浄化槽(みなし浄化槽)は別の表で、全ばっ気方式の20人以下なら3か月に1回以上、分離接触ばっ気方式などの20人以下なら4か月に1回以上などと定められています。いずれも、使用状況によって必要な回数が変わるため、契約している保守点検業者に確認するのが確実です。

また、最初の保守点検は、使用開始の直前に行うことになっています。ポンプの作動状況の点検や消毒剤の補充は、上の回数とは別に、必要に応じて行います。

点検で確認すること(主なもの)

  • 槽が傾いていないか、流入管・放流管との接続に異常がないか
  • 汚水の流れ方、スカム(浮いたかす)や汚泥のたまり具合、スクリーンの目詰まり
  • ばっ気装置(空気を吹き込む装置)の目詰まり、ブロワー・ポンプの作動
  • 槽内の溶存酸素量など、微生物が働ける状態が保たれているか
  • 悪臭・騒音・振動の有無、蚊やハエの発生防止
  • 放流水が消毒されているか(消毒剤の補充)

誰が点検するのか

点検の義務を負うのは、浄化槽の所有者など管理の権原を持つ人(浄化槽管理者)です。自分で行うこともできますが、多くの場合は専門の業者に委託します。委託先は次のとおりです。

  • 都道府県などの条例で保守点検業の登録制度がある地域:登録を受けた保守点検業者
  • 登録制度がない地域:浄化槽管理士(国家資格)

浄化槽管理士については「浄化槽管理士とは?」の記事をご覧ください。

大きな浄化槽は「技術管理者」が必要

処理対象人員が501人以上の浄化槽では、保守点検と清掃の技術上の業務を担当する「技術管理者」を置かなければなりません。技術管理者は、浄化槽管理士の資格を持ち、同じ規模の浄化槽で2年以上の実務経験がある人などに限られます。

記録と報告

  • 記録の保存:保守点検の記録を作成し(委託した場合は業者から交付を受け)、3年間保存します。
  • 使用開始の報告:浄化槽の使用を始めた日から30日以内に、都道府県知事などへ報告書を提出します。

法定検査との違い

保守点検は、浄化槽を正常に動かし続けるための日常的な手入れです。これとは別に、浄化槽が適切に管理されているかを第三者の検査機関が確かめる「法定検査」があります。設置後に1回受ける「7条検査」と、毎年受ける「11条検査」です。11条検査の記事では、浄化槽に流してはいけないものなど、使う人が守るべきルールも紹介しています。

根拠となる法令

浄化槽法第8条(保守点検の技術上の基準)、第10条(浄化槽管理者の義務・技術管理者)、第10条の2(報告書)と、環境省関係浄化槽法施行規則第2条(技術上の基準)・第5条(記録)・第6条(回数)、浄化槽法施行令第1条(技術管理者が必要な規模)に定められています。

違反した場合

保守点検が技術上の基準どおりに行われていない場合、都道府県知事から改善措置や、10日以内の使用停止を命じられることがあります(浄化槽法第12条第2項)。この命令に違反すると、6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象となります(同法第62条)。また、必要な技術管理者を置かなかった場合は、30万円以下の罰金の対象です(同法第64条第2号)。

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