この資格は何のためにあるのか
浄化槽管理士は、浄化槽の保守点検(装置の点検・調整・修理、消毒剤の補充など)を行うための国家資格です。浄化槽法にもとづいて環境大臣が免状を交付します。
浄化槽の管理者(建物の所有者など)は、定期的に保守点検を行わなければなりません(浄化槽法第10条第1項)。回数は浄化槽の方式や規模によって決まっており、1週間〜4か月ごとに1回以上(古い単独処理浄化槽は最長6か月ごと)です(環境省関係浄化槽法施行規則第6条)。自分で行わない場合は委託することができ、委託先は、条例で保守点検業者の登録制度がある地域では登録を受けた保守点検業者、登録制度がない地域では浄化槽管理士です(浄化槽法第10条第3項)。
浄化槽の仕事に関わる人と資格の違い
浄化槽には、保守点検・清掃・法定検査という3つの維持管理があり、それぞれ担当する人と必要な資格が違います。特に、名前が似ている「浄化槽検査員」とよく混同されます。
| 担当する人 | 主な仕事 | 必要な資格など |
|---|---|---|
| 浄化槽管理士 | 保守点検(装置の点検・調整・修理、消毒剤の補充など) | 浄化槽管理士免状(国家資格) |
| 浄化槽清掃業者 | 清掃(汚泥の引き抜きなど) | 市町村長の許可 |
| 浄化槽検査員 | 法定検査(設置後の7条検査、毎年の11条検査) | 都道府県知事が指定した検査機関に所属。専門知識と2年以上の実務経験が必要 |
| 技術管理者 | 大きな浄化槽(501人槽以上)の保守点検・清掃の技術上の業務を担当 | 浄化槽管理士+2年以上の実務経験など |
浄化槽検査員との違い
浄化槽検査員は、都道府県知事が指定した検査機関(指定検査機関)に所属し、外観・水質・書類の確認による法定検査を行う人です。保守点検や修理は行いません。つまり、浄化槽管理士が「日ごろの点検・調整をする人」なのに対し、浄化槽検査員は「その維持管理がきちんとできているかを第三者として検査する人」です。
浄化槽検査員は、「浄化槽管理士」のような免状の名前がある国家資格ではありません。指定検査機関の検査員には、浄化槽の検査に関する専門的な知識・技能と、2年以上の実務経験が求められます(環境省関係浄化槽法施行規則第55条)。その知識・技能を身につけるための講習として、公益財団法人日本環境整備教育センターが「浄化槽検査員講習会」(7日間・42時間)を行っています。
この講習会は、浄化槽管理士でなくても、理系の大学を卒業した人などであれば受講できます(いずれも都道府県の推薦が必要)。浄化槽管理士は一部の科目が免除され、受講料も安くなります(令和8年度:浄化槽管理士は94,800円、それ以外は119,300円)。
講習会の内容や受講資格、検査員の要件については、「浄化槽検査員になるには?講習会の内容・受講資格・費用」の記事で詳しく説明しています。
大きな浄化槽には「技術管理者」が必要
処理対象人員が501人以上の浄化槽では、浄化槽管理者は、保守点検と清掃の技術上の業務を担当する技術管理者を置かなければなりません(浄化槽法第10条第2項、施行令第1条)。技術管理者になれるのは、浄化槽管理士の資格を持ち、かつ、その規模の浄化槽の保守点検・清掃の実務に2年以上従事した人などです(施行規則第8条)。技術管理者に必要な知識を学ぶ講習として、日本環境整備教育センターが「浄化槽技術管理者講習会」を行っています。
大きなビルや商業施設、病院などで大型の浄化槽を使っている場合は、技術管理者を置いているか、変更したときに30日以内に報告書を出しているか(第10条の2第2項)も確認しておきましょう。
取得方法
取得方法は2通りあり、どちらも学歴や実務経験は問われません。
- 国家試験ルート:浄化槽管理士試験(年1回)に合格する
- 講習ルート:環境大臣が指定した講習機関(日本環境整備教育センター)の浄化槽管理士講習を修了する
どちらのルートでも、合格・修了後に申請すると、環境大臣から浄化槽管理士免状が交付されます(浄化槽法第45条第1項)。
国家試験ルート
| 実施時期 | 年1回(例年10月下旬の日曜日。令和8年度は10月25日) |
|---|---|
| 受験資格 | なし(学歴・実務経験は問わない) |
| 受験手数料 | 23,600円 |
| 試験地 | 宮城県、東京都、愛知県、大阪府、福岡県の5か所 |
| 出題 | 7科目・計80問 |
試験科目は、浄化槽概論、浄化槽行政、浄化槽の構造及び機能、浄化槽工事概論、浄化槽の点検・調整及び修理、水質管理、浄化槽の清掃概論の7科目です。
合格率は2割前後です。令和7年度は受験者882人に対して合格者201人で合格率22.8%、令和6年度は21.1%でした(日本環境整備教育センターの事業報告)。受験資格がないぶん、5人に1人程度しか合格しない試験です。
講習ルート
講習は現在、80時間の講義動画をオンデマンドで視聴し、最後の考査(2時間)だけ会場で受ける方式が中心です。視聴期間は3週間・2か月・3か月のコースがあります。一部の会場では、従来どおりの対面講習も行われています。
| 教科目 | 時間数 |
|---|---|
| 浄化槽概論 | 8時間 |
| 浄化槽行政 | 4時間 |
| 浄化槽の構造及び機能 | 22時間 |
| 浄化槽工事概論 | 4時間 |
| 浄化槽の点検、調整及び修理 | 30時間 |
| 水質管理 | 10時間 |
| 浄化槽の清掃概論 | 2時間 |
受講料は153,400円です(浄化槽設備士の資格を持つ人は一部の科目が免除され、142,100円。いずれも令和8年度)。令和7年度の修了率は82.6%で、試験ルートより合格しやすい一方、費用は試験ルートの6倍以上かかります。会社の費用で受講する人も多いルートです。
どちらを選ぶか
- 費用をおさえたい、独学で勉強できる → 国家試験ルート(受験手数料23,600円、ただし合格率は2割前後)
- 確実に取りたい、会社が費用を負担してくれる → 講習ルート(修了率は8〜9割)
この資格でできること・必要とされる場面
- 浄化槽の保守点検の仕事:浄化槽管理者から委託を受けて、浄化槽の保守点検を行うことができます。点検の回数や内容は浄化槽の保守点検をご覧ください。
- 保守点検業者で働くとき:多くの都道府県では、条例で保守点検業者の登録制度を設けています。登録を受けた業者は、浄化槽管理士に保守点検の業務をさせなければならず、事業所に浄化槽管理士を置くことが登録の要件になっています(浄化槽法第48条)。
- 技術管理者になるとき:501人槽以上の浄化槽の技術管理者になるには、浄化槽管理士の資格が前提になります(上記のとおり)。
- 浄化槽検査員を目指すとき:浄化槽管理士は、浄化槽検査員講習会で一部の科目が免除されます。
浄化槽管理士でない人が「浄化槽管理士」やこれと紛らわしい名称を使うことは禁止されており(第47条)、違反すると30万円以下の罰金の対象になります(第64条第14号)。
ビル管理の立場で知っておきたいこと
建物の管理者として浄化槽の保守点検を委託するときは、次の点を確認しておくと安心です。
- 委託先が、都道府県等の登録を受けた保守点検業者か(登録制度がない地域では、浄化槽管理士が点検するか)。保守点検の回数が、浄化槽の方式・規模に応じた回数になっているか
- 大きな浄化槽(501人槽以上)の場合、技術管理者を置いているか
- 保守点検・清掃の記録が3年間保存されているか(環境省関係浄化槽法施行規則第5条第8項)
- 毎年の法定検査(11条検査)を受けているか。詳しくは浄化槽の法定検査(毎年の水質検査・11条検査)をご覧ください。
保守点検・清掃・法定検査は、それぞれ別の業者や機関が担当するのが一般的です。法定検査で指摘を受けたときは、その内容を保守点検業者や清掃業者に伝えて、改善につなげることが大切です。清掃については浄化槽の清掃、設置後の検査については浄化槽の法定検査(設置後の水質検査・7条検査)をご覧ください。
根拠となる法令
浄化槽法第10条(保守点検・技術管理者・委託先)、第45条(免状)、第46条(試験)、第47条(名称の使用制限)、第48条(保守点検業者の登録制度)、第64条第14号(罰則)、浄化槽法施行令第1条(技術管理者が必要な規模)、環境省関係浄化槽法施行規則第6条(保守点検の回数)・第8条(技術管理者の資格)・第55条(指定検査機関の検査員)に定められています。


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