空気環境の測定【建築物衛生法】

建築物衛生法

この測定は何のためにあるのか

働く人や利用者が快適に過ごせるよう、室内の空気の状態(温度・湿度・二酸化炭素濃度など)が適切かどうかを定期的に確認する制度です。

対象になる建物

この基準が適用されるのは、建築物衛生法上の「特定建築物」(延べ面積3,000平方メートル以上の事務所・店舗・旅館など、学校教育法第1条に定める学校は8,000平方メートル以上)です。対象となる用途の詳しい一覧は「特定建築物の届出」の記事をご覧ください。

測定項目と基準値

項目 基準値
浮遊粉じんの量 空気1立方メートルにつき0.15mg以下
一酸化炭素(CO)の含有率 6ppm以下
二酸化炭素(CO2)の含有率 1,000ppm以下
温度 18℃以上28℃以下(冷房時は外気との差を著しくしないこと)
相対湿度 40%以上70%以下
気流 0.5m/秒以下
ホルムアルデヒドの量 空気1立方メートルにつき0.1mg以下

温度と一酸化炭素の基準は、2022年(令和4年)4月の改正で、それぞれ「17℃以上」から「18℃以上」、「10ppm以下」から「6ppm以下」に見直されました。

測定の頻度と方法

  • 頻度:2か月以内ごとに1回(年6回)、定期に測定します。
  • 場所:各階ごとに、居室の中央部の床上75cm以上150cm以下の位置で測ります。
  • 回数と判定:通常の使用時間中に測定し、実務では午前と午後の2回測るのが一般的です。浮遊粉じん・一酸化炭素・二酸化炭素の3項目は、1日の使用時間中の平均値で基準と比べます。
  • 設備による違い:空気調和設備(エアコン等で温度・湿度も調整する設備)がある建物は上の表の6項目を測ります。機械換気設備(換気だけを行う設備)の場合は、温度と湿度を除く4項目です。
  • ホルムアルデヒド:新築や大規模な修繕・模様替えを行ったときに、その階の居室で、使用開始後最初に来る6月1日〜9月30日の間に1回測定します。

基準から外れやすいのは「冬の湿度」

行政の調査でも、空気環境の項目の中で不適合が特に多いのは相対湿度で、とくに暖房を使う冬の時期に湿度が40%を下回るケースが目立つことが報告されています。

現場から:空気環境測定の実際

ビルメンテナンスの現場責任者として、空気環境の測定を自分たちで行ってきた経験から、実際のやり方をまとめます。

自分たちで測定し、報告書は機械が自動作成

私の現場では、業者に頼まず、自分たちで測定していました。使用している各事務所を午前と午後に1回ずつ、合計2回回って測ります。測定器は1台で全項目を測れるもので、USBで測定データを取り込むと、報告書を自動で作成してくれるタイプでした。記録の作成が格段に楽になります。

基準を外れるのは、ほぼ湿度だけ

実際に基準を外れることがあるのは、基本的には湿度くらいでした。ほかの項目で困ることはほとんどありません。

温度の苦情は「誰が調整できるか」で変わる

私の管理していた建物では、事務所は各部屋にリモコンがある個別空調(EHP・GHP)だったため、それぞれの部屋で温度を変えられ、温度の苦情は特にありませんでした。一方、共用部のエントランスなどは、たまに「暑い」と指摘を受けることがありました。その場合は、外気を取り入れる全熱交換器を一時的に停止させて対応していました。ただし、換気を止めると二酸化炭素の濃度が上がり、基準(1,000ppm以下)を超えるおそれがあります。止めるのは短時間にとどめ、CO2の値を確認しながら行う必要があります。

ホルムアルデヒドは異常なし

改装工事のあとなどにホルムアルデヒドの測定も実施しましたが、これまで基準を超えた場所は1か所もありませんでした。

根拠となる法令

建築物衛生法第4条と、同法施行令第2条(基準値)、施行規則第3条の2(測定方法)に定められています。

違反した場合

管理基準に適合していないだけで直ちに罰則が科されるわけではありません。ただし、管理基準が守られておらず健康を損なうおそれがあるなどの場合には、都道府県知事から改善命令や設備の使用停止などの処分を受けることがあり、これに違反すると30万円以下の罰金の対象となります(建築物衛生法第16条第5号)。また、点検・清掃などの記録を残す帳簿書類を備えていない場合も、30万円以下の罰金の対象です(同条第3号)。

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