この清掃は何のためにあるのか
排水管や排水槽に汚れやスケール(付着物)が溜まると、悪臭や詰まり、害虫発生の原因になります。それを防ぐための定期清掃です。
対象になる建物
建築物衛生法上の「特定建築物」(延べ面積3,000平方メートル以上の事務所・店舗・旅館など、学校教育法第1条に定める学校は8,000平方メートル以上)が対象です。対象となる用途の詳しい一覧は「特定建築物の届出」の記事をご覧ください。
対象になる「排水設備」とは
建物の中で出た排水を、下水道などへ流すまでの設備全体を指します。主なものは次のとおりです。
- 排水槽:地下階などで、下水道へ自然に流せない排水をいったん貯め、ポンプでくみ上げるための槽です。トイレの汚水を貯める「汚水槽」、台所や洗面の排水を貯める「雑排水槽」、地下の湧き水を貯める「湧水槽」などがあります。
- 排水管・通気管:建物内外で排水を運ぶ配管と、流れをよくするための空気の通り道です。
- 排水トラップ・阻集器:臭いや虫の侵入を防ぐ水封部分や、厨房の油などを取り除くグリーストラップなどです。
なお、ビルの地下にある汚水槽は、汚水をきれいにする「浄化槽」とは別の設備です。浄化槽については「浄化槽の法定検査」の記事をご覧ください。
清掃・点検の頻度
法律では、排水に関する設備の掃除を6か月以内ごとに1回行うことが定められています。あわせて、国の技術上の基準では、排水管・通気管について、損傷・さび・腐食・詰まり・漏水などがないかを定期的に点検することとされています。
なお、東京都では、排水槽について原則として4か月以内ごとに1回以上の清掃と、排水設備の1か月以内ごとに1回の定期点検を指導しています。管轄の自治体の基準もあわせて確認してください。
現場から:排水設備でよくあるトラブル
ビルメンテナンスの現場責任者として経験してきた、排水設備のトラブルを紹介します。
排水槽:ゴミが原因の警報トラブル
- フロートスイッチにゴミが付着して警報不良:排水槽の水位を検知するフロートスイッチにゴミがついて正しく動かず、警報がうまく働かなくなることがあります。
- ばっ気用ポンプにゴミが絡みついて異常発報:排水槽の中で空気を送り込んで臭いを抑える、ばっ気(撹拌)用のポンプにゴミが絡みつき、異常の警報が出ることがあります。
どちらも槽内のゴミが原因なので、定期清掃でゴミを取り除くことが一番の予防になります。
古い配管:腐食による詰まりと破損
- 腐食した配管は詰まりやすい:古い鋼管や鋳鉄管は、内側が腐食してでこぼこになり、汚物が引っかかってすぐに詰まってしまうことがあります。
- ラバーカップで穴が開いて大惨事に:詰まりをラバーカップで直そうとしていたところ、腐食していた配管に穴が開いてしまい、汚水があふれて大惨事になったことがあります。
築年数の古い建物で詰まりが繰り返し起こる場合は、配管そのものの劣化を疑い、無理に力をかける前に専門業者による調査や配管の更新を検討することをおすすめします。
屋外の配管:木の根が入り込んで排水できない
屋外に埋められた排水管では、配管の継ぎ目などから木の根が入り込み、管をふさいで排水できなくなることがたまにあります。敷地内に植栽が多い建物では、屋外の排水ますや配管の状態もあわせて確認しておくと安心です。
根拠となる法令
建築物衛生法第4条(建築物環境衛生管理基準)と、同法施行規則第4条の3に定められています。点検の内容は「空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準」(平成15年厚生労働省告示第119号)に示されています。
違反した場合
管理基準に適合していないだけで直ちに罰則が科されるわけではありません。ただし、管理基準が守られておらず健康を損なうおそれがあるなどの場合には、都道府県知事から改善命令や設備の使用停止などの処分を受けることがあり、これに違反すると30万円以下の罰金の対象となります(建築物衛生法第16条第5号)。また、点検・清掃などの記録を残す帳簿書類を備えていない場合も、30万円以下の罰金の対象です(同条第3号)。


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