この資格は何のためにあるのか
「ねずみ昆虫等防除作業監督者」は、ビルのねずみ・ゴキブリなどの防除を仕事として請け負う会社が、都道府県に「登録業者」として登録するときに、営業所に置かなければならない人です。防除の作業を監督する役目で、厚生労働大臣の登録を受けた機関が行う講習を修了することでなれます。
ビルの管理者から見ると、防除を業者に頼むときの「その業者は登録を受けているか」を見分ける手がかりになる資格です。
「国家資格」はあるのか?資格がなくても調査はできるのか
よく疑問になる2点を、先にまとめます。
- ねずみ・昆虫等の防除に、試験に合格して取る国家資格(免状)はありません。防除業の登録に必要な監督者は、登録機関の講習の修了者です(建築物衛生法施行規則第29条)。
- 調査や防除に、資格や登録は必須ではありません。建築物衛生法が特定建築物の管理者に求めているのは、管理基準に従って維持管理することです。自社で調査や防除をしてもかまいません。調査の頻度や薬剤のルールはねずみ・昆虫等の防除をご覧ください。
なお、登録は営業所ごとの任意の制度です(法第12条の2は「登録を受けることができる」と定めています)。登録を受けた業者は、「登録建築物ねずみ昆虫等防除業」と表示できます。登録を受けていない業者が、この表示やこれに似た表示をすることは禁止されています(法第12条の3、第12条の10)。
防除業の登録に必要な条件
登録は、営業所の所在地を管轄する都道府県知事に申請します。有効期間は6年です(法第12条の2)。施行規則第29条が定める主な条件は、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 機械器具 | 照明器具、調査用トラップ、実体顕微鏡、毒じ皿・毒じ箱・捕そ器、噴霧機・散粉機、真空掃除機、防毒マスク(または防毒機能のある呼吸用保護具)・消火器 |
| 保管庫 | 機械器具と防除に使う薬剤を適切にしまえる専用の保管庫 |
| 監督者 | ねずみ等の防除作業の監督を行う者(下記の講習の修了者など) |
| 作業する人 | 防除作業に従事する全員が、機械器具・薬剤の使い方や安全に関する研修を修了していること |
| 作業方法 | 防除作業と機械器具の維持管理が、厚生労働大臣が定める基準に適合していること |
東京都の案内資料では、従事者の研修は、作業に従事する人全員が年間7時間以上受けられることとされています。また、機械器具は営業所ごとにそろえ、原則として借り入れは認められないとされています。
監督者になるには(講習)
監督者になるための講習は、厚生労働大臣の登録を受けた公益財団法人日本建築衛生管理教育センターが行っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受講資格(いずれか) | 高校(中等教育学校を含む)を卒業後、建築物のねずみ・昆虫等の防除(シロアリ駆除を除く)の実務に2年以上従事した方/同じ実務に5年以上従事した方/これらと同等以上の学歴・実務経験があると認められる方。実務経験は正社員としての従事に限られ、アルバイト・パートは含まれません |
| 講習の内容 | 建築物環境衛生制度2時間、殺そ殺虫剤6時間、作業と安全管理6時間、ねずみ昆虫等防除各論16時間、実技2時間(法令が定める科目・時間数)。試験1時間を含め、合計33時間(5日間) |
| 受講料 | 71,000円(非課税、教材費を含む) |
| 開催 | 集合形式。令和8年度は東京と大阪で、5月と12月に実施 |
| 有効期間 | 監督者として認められるのは、修了から6年を経過しない人です。引き続き監督者になるには、6年ごとに再講習(12時間以上)を受けます |
受講資格に実務経験が必要なため、未経験からいきなり受講できる講習ではありません。募集の時期や受講料は変わることがあるので、申し込む前に日本建築衛生管理教育センターの最新の案内で確認してください。
兼任についての注意
東京都の案内資料では、防除作業監督者は、ほかの登録営業所の監督者や、ほかの登録業種の有資格者との兼任ができないとされています。さらに、特定建築物に選任される建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)との兼任も認められていません。ビル管理士は建物全体の維持管理を監督する人で、防除業者の作業を監督する人とは役割が違います(詳しくは建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)とは、建築物環境衛生管理技術者の選任をご覧ください)。
ビル管理の立場で知っておきたいこと
防除を専門業者に頼むときは、次の点を確認しておくと安心です。
- 「登録建築物ねずみ昆虫等防除業」の登録を受けているか。登録は、営業所の所在地の都道府県などの窓口で確認できます。ビルメンテナンス会社に管理を任せている場合は、防除を外注しているかどうか、外注先が登録業者かどうかも、会社に聞いておくと安心です
- 薬剤が、薬機法の承認を受けた医薬品・医薬部外品か(施行規則第4条の5第2項)
- 調査の結果(トラップにかかった数、発生場所など)の報告をもらえるか。記録は、管理基準に関する帳簿書類として保存します
登録は任意なので、登録がない業者がすべて問題というわけではありません。ただ、機械器具・監督者・研修の条件を満たして知事の登録を受けているかどうかは、業者を選ぶ目安になります。
現場から:自社での確認と、専門業者への依頼
ビルメンテナンスの現場責任者としての経験を書きます。私の現場では、基本は自社(直営)で点検しています。月1回の点検のときに、設置した粘着シートにゴキブリがかかっていないかを確認しています。
一方で、私の現場では、ねずみ対策(防鼠作業)は、オーナー様が専門業者と定期契約をして、実施してもらっていました。日ごろの確認は自社、専門的な作業は業者、という分け方です。
ただ、契約の形は建物によって違います。ビルメンテナンス会社が建物の管理を請け負ったうえで、防除の作業を専門業者に外注する形もあります。どちらの形でも、実際に作業をする業者が誰なのかは、確認しておいたほうがよい点です。
自社の点検では、変化に早く気づくことが役目です。変化が見つかったときは、専門業者に相談できる関係をつくっておくことが大切だと感じています。
ねずみは、電気室に入り込んで停電の原因になることもあります。点検の詳細はねずみ・昆虫等の防除、電気室の点検は自家用電気工作物の月次点検もご覧ください。
根拠となる法令
建築物における衛生的環境の確保に関する法律第12条の2(登録)・第12条の3(登録の表示)・第12条の10(表示の制限)・第18条第3号(過料)、同法施行規則第4条の5(ねずみ等の防除)・第29条(ねずみ昆虫等防除業の登録基準)・第29条の2(講習の登録機関と講習の内容)に定められています。
違反した場合
登録を受けていないのに、「登録建築物ねずみ昆虫等防除業」などの表示、またはこれに似た表示をした場合は、10万円以下の過料の対象になります(法第18条第3号)。


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